返金の手続・期限・控除できる費用の決め方

返金の事由を決めても、いつまでに、いくらを、どの方法で返すのかが決まっていなければ、現場は場当たりになります。返金が決まったあとの手続面を、事由・時点・金額・方法・期限の順に整理します。

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「別途定める方法により返金します」の一文では、期限も方法も控除の中身も、後から事業者が決められる形になります。

このページの要点

  • 返金期限は、起算点(申出の到達か、事業者の確認か)と単位(暦日か営業日か)を先に決める。
  • 返金の方法は、支払の方法に合わせるのが原則。事業者が一方的に選べる書き方は避ける。
  • 控除する費用は、振込手数料などの実費と、一律の手数料や違約金に分けて、根拠を説明できるようにする。
  • 部分返金は、計算の順序を固定し、項目と金額を記した精算書を利用者に示す。

結論:返金の「手続」は、事由・時点・金額・方法・期限の五つを先に決めておく

解約や取消しの規定を整えても、実際に返金する段になって、いつまでに、いくらを、どの方法で、誰が費用を負担して返すのかが決まっていなければ、現場は場当たりの対応になり、利用者からは「説明と違う」「遅い」という不満が出ます。返金の手続は、条項の有効・無効とは別の層の問題です。条項が有効でも、手続が曖昧だと、同じ事案で担当者によって返金額や時期が変わり、あとから一貫性を問われます。

契約書作成の実務の経験をもとにいえば、返金に関する規定は「返金事由」だけが丁寧に書かれ、「返金の手続」は「当社が別途定める方法により返金します」の一文で終わっている例が多く見られます。この一文は便利に見えますが、期限も方法も控除の中身も後から事業者が決められる形になるため、利用者側から見ると何も約束されていないのと同じです。逆に、事業者側から見ても、実務の運用を書面に落とし込んでいないので、担当者が替わると運用が崩れます。

このページでは、返金の事由そのものの有効性(条項の効力)ではなく、返金が決まったあとの手続面に絞って整理します。条項の効力については、無効になる条項の点検と返金しない条項の分解で扱います。ここで扱うのは、次の五つです。

返金手続を決める順序

  1. 返金事由の確定どの事実が生じたときに返金義務が確定するのかを決めます。申出の時点か、事業者が確認した時点か、解約の効力が生じた時点かで、期限の数え始めが変わります。
  2. 返金額の確定受領済みの代金から、既に提供した分の対価、手配済みの実費、控除できる費用を差し引き、返す金額を出します。計算の順序を固定しておくと、担当者によるぶれが減ります。
  3. 返金方法の選択決済の取消し、振込、現金、ポイントなど、どの方法で返すかを決めます。支払方法と同じ方法で返すのが原則的な考え方です。
  4. 返金期限の設定確定した時点から、暦日または営業日でいつまでに返すかを決めます。起算点と、期限を過ぎたときの扱いも明記します。
  5. 通知と記録返金額の内訳、方法、予定日を利用者に知らせ、やり取りの記録を残します。

五つのうち、一つでも決まっていないと、返金の場面で担当者の判断に委ねる部分が残ります。

返金事由の確定時点と、返金期限の置き方

返金期限は、「いつから数えるか」と「何日(何営業日)にするか」の二つの決めごとでできています。多くの規約では、後者だけが書かれ、前者が書かれていません。起算点が曖昧だと、同じ「解約から一定の日数以内に返金」という書き方でも、利用者は解約を申し出た日から数えるつもりで、事業者は解約を確認して手続を終えた日から数えるつもりになり、双方の理解がずれます。

起算点の候補は、おおむね次のとおりです。どれが正しいというものではなく、取引の実態と運用に合うものを選び、規約に書いておくことが大切です。

返金期限の起算点の候補と、それぞれの注意点

起算点内容注意点
解約・取消しの申出が届いた日利用者が申し出て、事業者に届いた日から数えます。利用者には分かりやすい反面、届いた日の判定(営業時間外の扱い)を決めておく必要があります。
申出を事業者が承諾・確認した日事業者が事由を確認し、返金すると決めた日から数えます。確認に時間がかかると、利用者から見て起算点が遠のきます。確認の期間にも目安を置くと安全です。
解約の効力が生じた日月末解約などの場合に、契約が終わる日から数えます。効力の発生日と、返金の発生日が別になるため、規約上の整理が必要です。
返金先情報を受け取った日振込先などの情報が揃った日から数えます。利用者の側の情報提供が遅れたときに事業者が不利になりにくい反面、情報を求める手順を明示しないと、事業者が時間を引き延ばしていると見られます。

期間の単位は、暦日(休日を含めて数える)と営業日(休業日を除いて数える)のどちらかを選びます。営業日で数える場合は、事業者の休業日がいつなのかが利用者に分かる必要があります。休業日を規約に定めていない、または広告・表示に出していないのに営業日で数えると、利用者が期限を計算できません。暦日で数える方が単純で、事業者の側も期限を守る意識を持ちやすい、という運用上の利点もあります。

返金期限を過ぎたときの扱いも、あらかじめ決めておきます。期限を定めながら、過ぎた場合の扱いを書かないと、期限が単なる目安になり、利用者から見て約束の意味が薄れます。一方で、期限を過ぎた場合に高い遅延損害金を事業者が負担する形にすると、事業者が不利になるため、書き方に悩む点です。実務では、「期限内に返金できない事情があるときは、その旨と見込み日を連絡する」という連絡義務を置く書き方が、利用者の納得を得やすい例として見られます。

なお、解除に基づいて金銭を返す場面では、民法545条2項が、金銭を返還するときは受領の時から利息を付さなければならないと定めています。返金期限を長く置くことは、その間の利息の問題とも無関係ではありません。契約を解除した場合の原状回復について、規約でこの民法の定めと異なる扱い(利息を付さない旨など)を置くときは、その内容が利用者に一方的に不利にならないかを、消費者契約法10条の観点から点検することになります。

返金の手続に関わる主な条文

民法545条1項・2項

解除権を行使したときは、各当事者は相手方を原状に復させる義務を負う。金銭を返還するときは、受領の時から利息を付さなければならない。

読むとき約定の解除(契約に定めた解約)では、規約で別段の定めをする余地がありますが、その定めが利用者に一方的に不利になる場合は、消費者契約法10条の対象になり得ます。

特定商取引法9条6項

訪問販売の役務提供契約でクーリング・オフがあった場合、役務提供事業者は、役務提供契約に関連して受領した金銭を、速やかに返還しなければならない。

読むとき法定のクーリング・オフが開く取引では、返金は「速やかに」行うことが法律上の義務になります。電話勧誘販売でも同様の規定(24条6項)があります。規約の返金期限が長すぎる場合は、この義務との関係に注意します。

民法703条

法律上の原因なく他人の財産によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度で返還する義務を負う。

読むとき契約の取消しなどにより、受け取った代金に法律上の原因がなくなったときの返還の根拠になります。

条文の要旨は、e-Gov 法令検索で原文を参照できます。個別の取引への当てはめは、取引の類型によって異なります。

カード決済の取消しと、振込による返金の使い分け

返金の方法は、利用者が代金を支払った方法に合わせるのが基本的な考え方です。カードで支払った代金を、別の方法(たとえば銀行振込)で返すと、利用者の側で口座情報の連絡や手数料の負担が生じ、手間が増えます。逆に、振込で支払った代金をカードに戻す、という返し方は、通常はできません。支払の方法と返金の方法をそろえる、という原則を規約に書いておくと、運用が安定します。

カード決済の場合、返金の実際の処理は、決済を扱う事業者(カード会社や決済代行事業者)を通じた「取消し」や「返金処理」として行われます。処理が完了するまでの期間や、利用者のカード明細にどのように反映されるかは、決済事業者ごと、またカードの締め日との前後関係によって異なります。そのため、規約には「返金の処理は事業者が行い、利用者の口座・カードへの反映時期は決済事業者により異なる」旨を書いておくのが実務的です。事業者が行う処理の期限と、決済事業者側の反映期間とを区別して書かないと、事業者が処理を終えているのに利用者に返金が届いていない、という状況で、責任の所在が曖昧になります。

支払方法ごとの返金の方法と、規約に書く事項

支払方法原則的な返金方法規約に書く事項
クレジットカード決済の取消し、または返金処理(決済事業者を通じて行う)。事業者が処理を行う期限、反映時期が決済事業者により異なること、カード会社への手続が必要な場合はその旨。
銀行振込利用者の指定する口座への振込。返金先口座の通知方法、名義の確認、振込手数料の負担、口座情報が届かない場合の扱い。
コンビニ・電子マネー等の後払い・前払い決済事業者の定める返金手続。原則どおり決済事業者の手続に従うこと、現金等の別の方法に変更するときの条件。
現金(対面)対面で現金を返す、または口座振込に切り替える。受領の確認方法(受領書など)、対面できない場合の振込への切替え。
ポイント・クレジット等の事業者独自の仕組み同じ形式で戻す、または現金に換えて返す。有効期限、換算の方法、現金化の可否。前払式の仕組みにあたる場合は、別の法令の確認が必要になります。

返金方法を事業者が一方的に選べる書き方(「事業者が適当と認める方法により返金する」など)は、利用者の側から見て、どの方法で返ってくるのか分からず、手間やコストを事業者が自由に利用者に転嫁できる余地があるため、問題を指摘されやすい書き方です。事業者の側にも合理的な理由(決済代行事業者の仕様上、取消しのみ可能など)がある場合は、その理由を踏まえたうえで、「原則として支払の方法と同じ方法」「それが困難なときは利用者の同意を得た別の方法」という二段にしておくと、双方にとって予測がつきます。

振込手数料の負担と、一律の手数料を控除する場合の考え方

返金に関する不満の中で、特に多いのが、「返金額から手数料が引かれていた」というものです。この手数料には、実際には性質の異なる複数のものが混じっています。

返金から控除される「手数料」の種類

実費

振込手数料(実費)

返金を銀行振込で行うときに、金融機関に支払う実際の費用。実際に生じる額を、誰が負担するかの取り決めです。

実費

決済手数料(実費の転嫁)

代金を受け取るときに決済事業者へ支払った手数料。返金しても戻ってこない場合に、その分を利用者に負担させるかどうかの取り決めです。

約定

事務手数料(一律)

返金事務にかかる人件費などを名目に、一定額または一定割合を引くもの。実費と対応しているか、金額が適正かが論点になります。

約定

キャンセル料・違約金

解約に伴う損害賠償の予定または違約金。手数料という名目でも、実質的にこれに当たるときは、消費者契約法9条1項1号の対象として検討されます。

名称が手数料でも、解約に伴って利用者から差し引かれる性質のものは、損害賠償の予定や違約金と評価される可能性があります。名称ではなく、何のための金額かで整理します。

手数料の中でも、振込手数料のように、返金のために実際に事業者が負担する費用については、利用者の負担とする旨を規約に明示し、実額(または上限)を示している限り、一般に合理的な説明が付けやすいと考えられます。一方、決済手数料の転嫁や一律の事務手数料は、実費と金額が対応しているかが問われやすい部分です。

とくに、多くの契約書で見られる傾向として、決済方法にかかわらず、一律の割合を返金額から控除する書き方があります。この書き方は、決済方法によって事業者が実際に負担した費用が違うのに、同じ率を一律に引くため、実際の費用とずれが生じます。利用者から見ると、費用が小さい決済方法で支払っても大きな控除を受けることになり、説明を求められたときに根拠を示しにくくなります。また、解約に伴って差し引く金額が、その解約によって事業者に生じる平均的な損害の額を超えていれば、その超える部分は、消費者契約法9条1項1号により無効になります。

書き方の例(一般的な例) 返金からの控除の書き方

控除の書き方

よくある書き方返金の際は、決済方法を問わず、返金額から一定の割合を事務手数料として差し引きます。
整えた書き方返金の際は、返金に要する振込手数料の実費に限り、返金額から差し引きます。決済事業者に支払い、返金されない費用がある場合は、その内容と金額(または算定方法)を、申込み時に表示した料金表に記載します。

理由控除する費用を、実際に生じる費用に対応させます。名目と金額の根拠を示せると、利用者への説明も、後日の確認も容易になります。

振込手数料の負担

よくある書き方振込手数料は、利用者の負担とします。
整えた書き方事業者の都合による返金、または事業者に原因がある返金では、振込手数料は事業者の負担とします。利用者の都合による返金では、振込手数料の実費を差し引きます。

理由返金の原因が事業者にあるか、利用者にあるかで負担者を分けると、納得を得やすくなります。

控除の根拠の説明

よくある書き方手数料の内訳は、お答えできません。
整えた書き方利用者から求められたときは、控除する費用の内訳と算定の根拠の概要を説明します。

理由解約に伴って支払う金額については、事業者は求めに応じて算定根拠の概要を説明するよう努めるとされており(消費者契約法9条2項)、拒む書き方は避けるのが安全です。

返金先の確認と、本人確認の限度

返金は、誤った相手に送ってしまうと取り返しがつきません。特に振込による返金では、返金先口座の名義が申込者本人のものか、第三者のものかが問題になります。申込者本人の名義に限る、と決めるのが基本ですが、実際には家族名義の口座を指定されることもあります。この場合の扱いを、あらかじめ決めておきます。

確認の問いと理由返金先の確認で決めておくこと

  1. 返金先は、申込者本人の名義の口座・カードに限りますか。

    第三者の口座に返金して、その後に本人から未返金だと主張されるリスクを避けるためです。本人名義に限る場合は、例外(法人契約で担当者の口座など)の扱いも書きます。

  2. 返金先情報は、どの手段で受け取りますか。

    メール本文に口座情報を書かせる運用は、誤送信や漏えいの原因になります。専用の入力フォームなど、安全な手段に限る方が、事業者・利用者双方にとって安全です。

  3. 返金先口座が誤っていた、または送金できなかった場合の扱いは。

    組み戻しの手数料、再送の期限、返金先が確認できない場合の期間の上限(保管の扱い)を決めないと、いつまでも返金が終わりません。

  4. 本人確認は、どこまで求めますか。

    返金のために身分証明書の提出まで求めると、個人情報の取得が過大になります。申込み時の登録情報との一致を確認する程度にとどめるのが、一般的な考え方です。

  5. 未成年者や、保護者が支払った取引の返金先は。

    支払った人と利用する人が違う場合、返金先をどちらにするか決めておきます。支払った人に返すのが原則的な整理です。

返金先の確認は、事業者を守る手続でもあり、利用者の資金を守る手続でもあります。

返金先情報の取得は、個人情報の取得にもなります。取得する情報(口座名義、口座番号など)の利用目的を、返金手続に限ることを、プライバシーポリシー等に明示しておくのが安全です。返金手続が終わった後、いつまで情報を保管するかも、あらかじめ決めておきます。

部分返金と精算書:提供済みの分をどう差し引くか

契約の途中で解約や取消しがあったとき、全額を返すのでも、まったく返さないのでもなく、既に提供した分を差し引いて残りを返す「部分返金」が、実務では多く出てくる場面です。この場面では、「何を」「いくら」差し引いたのかが利用者に伝わらないと、納得を得られません。

部分返金の計算の順序

  1. 受領済みの総額を確認いつ、いくら、どの方法で受け取ったのかを確認します。分割払い・継続課金では、既に受領した累計額を確認します。
  2. 提供済みの役務・商品の対価を出す回数制なら使った回数分、期間制なら経過した期間分、など、契約で定めた計算方法に従って出します。計算方法が契約にないときは、実質的な提供の割合を基準にします。
  3. 手配済みの実費を確認利用者のために既に手配し、取り消せなかった費用(外部に支払い済みの費用、取消料など)を、実際に生じた額で確認します。
  4. 約定の違約金・キャンセル料を確認契約に定めた違約金やキャンセル料がある場合は、その額が、解除の事由・時期の区分に応じた平均的な損害を超えていないかを確認します。
  5. 返金額を算出し、内訳を精算書にまとめる受領済みの総額から、対価・実費・違約金・振込手数料を差し引いた額を返金額とし、項目ごとの金額を記載します。

計算の順序を固定すると、事案ごとのぶれが減り、利用者への説明も定型にできます。

精算書は、法律上必ず作成しなければならない書面ではありませんが、返金額に疑義が出たときに、事業者が計算の過程を示す材料になります。特に、部分返金や、控除のある返金のときは、項目と金額を記載した精算書を、返金の通知とあわせて利用者に示す運用が、トラブルの予防に役立ちます。

条文例返金額の計算に関する書き方の例(一般的な例)

  1. 返金額は、利用者が支払済みの代金の額から、次の各号に掲げる金額を差し引いた残額とします。
    (1) 解約の効力が生じる日までに提供済みの役務の対価
    (2) 利用者のために手配済みで、取消しができなかった費用の実額
    (3) 返金のために生じる振込手数料の実費(事業者に原因がある返金の場合は差し引きません。)
  2. 前項の各号の金額は、内訳を記載した書面(電子メールを含みます。)により、利用者に通知します。
  3. 利用者から求められたときは、前項の金額の算定の根拠の概要を説明します。

金額の欄や日数は、取引の内容に合わせて「○」の部分を決める必要があります。

返金申請期間の設け方と、返金の通知

「返金の申出は、事由が生じた日から一定の日数以内に限ります」という申請期間を置く規約があります。申請期間は、事業者が事実確認をするために合理的な範囲で置くのであれば、一定の意味があります。しかし、あまりに短い期間を置いたり、利用者が事由に気付くより前に期間が終わるような起算点を置いたりすると、返金を受ける権利を実質的に奪うことになり、消費者契約法10条により無効とされる可能性があります。

申請期間を置く場合の考え方は、次のとおりです。

  • 期間は、利用者が事由を知ってから申し出るまでに、現実的に必要な長さを確保する。
  • 起算点は、利用者が事由を知り得た時(商品の到着日、サービス障害の通知日など)にする。
  • 法律で認められた権利(クーリング・オフ、法定の解除、取消し)の行使期間を、規約の申請期間で短縮しない。
  • 事業者の側に原因がある場合(提供不能、重大な不具合など)は、申請期間の例外とする。
  • 申請の方法(フォーム、メールなど)を示し、受け付けたことを利用者に通知する。

返金が決まったあとの通知は、金額、内訳、方法、予定日を記載したものにします。返金の実施後は、完了したことの通知を行い、記録を残します。通知を省くと、利用者は返金が行われたのかを自分で確認する必要があり、「返金されていない」という連絡が事業者に寄せられ、かえって手間が増えます。

確認の問いと理由返金手続の規定を見直すときの問い

  1. 返金期限の起算点と、単位(暦日か営業日か)は決まっていますか。

    起算点と単位が曖昧だと、期限の守り方が担当者によって変わります。

  2. 控除できる費用は、種類ごとに根拠を説明できますか。

    実費と一律の手数料では、説明の難しさが異なります。説明できない控除は、後で争いになりやすい部分です。

  3. 返金方法は、支払の方法と対応していますか。

    対応していないと、利用者に手間とコストが生じ、返金が遅れる原因にもなります。

  4. 返金額の内訳を、利用者に示す仕組みがありますか。

    内訳が見えないと、利用者は適正な返金額かを確認できません。

  5. 申請期間を置く場合、法定の権利の行使を妨げていませんか。

    規約の申請期間で、法律上の権利行使の期間を短くすることはできません。

起きがちなこと:返金の手続でつまずく場面

返金の手続で起きがちなこと

  • 期限だけが書かれ、起算点が書かれていないため、利用者と事業者で期限の理解が食い違う。
  • 返金方法を「事業者が適当と認める方法」とだけ書き、実際には決済方法と異なる方法で返す運用になっている。
  • 決済方法にかかわらず一律の割合を控除しており、実際の費用との対応を説明できない。
  • 返金先の口座情報を、メールの本文で受け取っており、誤送信や漏えいの原因になっている。
  • 返金額の内訳を示さずに入金だけが行われ、利用者から「金額が違う」と連絡が来る。
  • 返金申請期間が短く、利用者が事由に気付く前に終わっている。
  • 返金が終わったことの通知がなく、「返金されていない」という問い合わせが続く。
  • 継続課金で、返金の対象になる月と、課金が止まる月がずれている。

返金の手続は、一度決めて終わりではなく、決済手段の追加や、決済事業者の仕様の変更、取引内容の変更のたびに見直す必要があります。見直しの時期の考え方は解約・返金の規定づくりの全体地図で扱っています。また、返金要求を受けたときの仕分けと記録は解約・返金の申出を受けたときの対応で整理しています。

よくあるご質問

返金は、何日以内にしなければならないと法律で決まっていますか。

取引の類型によります。訪問販売や電話勧誘販売でクーリング・オフがあった場合は、役務提供事業者は受領した金銭を速やかに返還しなければならないとされています(特定商取引法9条6項、24条6項)。それ以外の約定の解約・返金では、具体的な日数を定めた一般的な規定はなく、契約(規約)に定めた期限が基準になります。ただし、不当に長い期限は、利用者の利益を一方的に害するものとして、消費者契約法10条により問題になる可能性があります。

返金するとき、振込手数料は利用者に負担してもらえますか。

規約に明示し、実費の範囲であれば、利用者の都合による返金では負担してもらう設計は一般に取り得ます。一方、事業者に原因がある返金(提供不能、事業者の誤りなど)で利用者に振込手数料を負担させると、納得を得にくく、争いになりやすいと考えられます。原因が事業者にある場合は事業者負担とし、利用者の都合による場合は実費の範囲で差し引く、という分け方が分かりやすい整理です。

カードで支払われた代金を、振込で返金してもよいですか。

原則は、支払の方法と同じ方法で返すことです。カードの取消しが技術的にできない場合などに、利用者の同意を得て振込にするのは一つの方法ですが、その場合の振込手数料の負担や、口座情報の安全な受け取り方を決めておく必要があります。事業者が一方的に方法を選べる書き方は避けるのが安全です。

返金の申請期間を短くしても問題ありませんか。

期間が短すぎて、利用者が事由に気付く前に終わってしまう設計は、返金を受ける権利を実質的に奪うものとして、消費者契約法10条で問題になる可能性があります。また、クーリング・オフなど法律で認められた権利の行使期間を、規約で短くすることはできません。起算点は、利用者が事由を知り得た時にするのが安全です。

返金額の内訳は、必ず示さなければなりませんか。

一般的な法律上の義務として内訳の提示が定められているわけではありません。ただし、解約に伴う損害賠償の額の予定や違約金を請求する場合、消費者から説明を求められたときは、算定の根拠の概要を説明するよう努めることが、消費者契約法9条2項で求められています。説明できる状態にしておくと、利用者とのやり取りが円滑になります。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、取引の内容や契約の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で参照できます。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 特定商取引法ガイド / 国民生活センター

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