クーリング・オフ、通信販売の返品、中途解約の違い:取引の型ごとに開く出口

クーリング・オフがあるのは、訪問販売など特商法が定める六つの型だけで、通信販売にはありません。通信販売には商品と特定権利を対象にした法定の返品があり、継続的な役務の一部には中途解約があります。六つの出口の違いを、起算点・効力・費用の面から比べます。

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通信販売の規約に「クーリング・オフを受け付けます」と書くと、本来ない権利を約束したと受け取られます。逆に、対象の取引で「対象外」と書いても、法律上の効力は消せません。

このページの要点

  • クーリング・オフは、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引、訪問購入の六つの型にだけ定められている。
  • 通信販売の法定の返品(特商法15条の3)は商品と特定権利が対象で役務には及ばず、広告に返品の特約を表示していれば働かない。返品の費用は購入者が負担する。
  • クーリング・オフは通知を発した時に効力が生じる(発信主義)。到達を要件にしたり、方法を限定したりする特約は無効。
  • 営業のための契約には、特商法の通信販売などの規定や消費者契約法は適用されない。個人事業主が申し込む場面は、申込みの入口で目的を確認する。

結論:クーリング・オフは取引の型で決まる。通信販売には、クーリング・オフはない

「クーリング・オフはありますか」という質問に、取引の型を確かめずに答えることはできません。クーリング・オフは、特定商取引法(以下「特商法」といいます)が、不意打ちになりやすい取引や、契約内容が分かりにくい取引に限って認めている出口です。インターネットで申込みを受けるような通信販売は、その対象に入りません。そのかわり、通信販売には、商品や特定権利について、法律が定める返品の仕組みがあります。さらに、継続的な役務(サービス)の一部には中途解約の定めがあり、これらとは別に、消費者契約法による取消しや無効、民法による解除、契約で定める解約があります。

この六つの出口を取り違えると、規定を二重に誤ります。クーリング・オフのない取引に、クーリング・オフを案内してしまうか、クーリング・オフのある取引に、ないかのように書いてしまうかです。どちらも、後で争いになります。このページは、出口の種類を比べ、自社の取引にどの出口が開くかを見分けるための整理です。要点は次のとおりです。

  • クーリング・オフが定められているのは、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引、訪問購入の六つの型。通信販売にはない。
  • 通信販売の法定の返品(特商法15条の3)は、商品と特定権利が対象で、役務(サービス)には及ばない。広告に返品の特約を表示していれば、この返品は働かない。
  • 継続的な役務のうち政令で指定されたものには、クーリング・オフに加えて、八日を過ぎた後の中途解約が認められ、請求できる金額の上限も法律が定めている。
  • 消費者契約法による取消し、民法による解除、契約で定める解約は、取引の型にかかわらず検討する。
  • 相手が営業のために契約する事業者なら、特商法の通信販売・訪問販売・電話勧誘販売の規定は適用されない。

各出口の「金額」の考え方は、平均的な損害の考え方や「返金しない」条項の分け方で扱います。ここでは、どの出口が開くか、そして出口ごとに起算点(いつから数えるか)、効力が生じる時点、費用の負担がどう違うかを比べます。

六つの出口の札:法定の出口と、約定の出口

出口には、法律が定めたもの(法定)と、契約で定めるもの(約定)があります。法定の出口は、契約で消すことも、利用者に不利に変えることもできません。まず全体を並べます。

解約・返金の根拠となる六つの出口

法定

クーリング・オフ

特商法が定める取引の型に限り、書面等の受領から一定期間は、理由を問わず申込みの撤回や解除ができる。違約金などの請求はできない。

法定

通信販売の法定の返品

通信販売で商品や特定権利を買った人が、引渡しを受けた日から八日を過ぎるまで返品できる。広告に返品の特約を表示していれば働かない。

法定

特定継続的役務提供の中途解約

政令で指定された継続的な役務で、八日を過ぎた後も将来に向かって解除できる。請求できる金額に法律の上限がある。

法定

消費者契約法による取消しと無効

誤認や困惑による契約の取消し(4条)。免責や過大な違約金などの条項の無効(8条、8条の2、9条、10条)。

法定

民法による解除

相手方の債務不履行による催告解除、無催告解除(民法541条、542条)。解除すると原状に復する義務が生じる(545条)。

約定

契約で定める解約

契約書や規約に、解約や退会の事由、方法、効力の発生時点、清算を書く。条項の内容が消費者契約法に反すれば、その部分が無効になる。

法定の出口が使われた場合は、契約で定めた約定の出口よりも、法定の効果が優先します。

六つのうち、取引の型で使えるかどうかが決まるのは、最初の三つです。四つ目以降は、取引の型にかかわらず検討します。次の節から、一つずつ見ていきます。

クーリング・オフ:対象の型、期間、効力の発生、費用

クーリング・オフとは、一定の期間は、理由を問わず、申込みの撤回または契約の解除ができる制度です。特商法は、六つの取引の型に、それぞれ定めを置いています。

特商法のクーリング・オフが定められている取引の型

取引の型根拠となる条文期間起算点
訪問販売特商法9条八日法定の書面を受領した日から数える
電話勧誘販売特商法24条八日法定の書面を受領した日から数える
特定継続的役務提供特商法48条八日法定の書面を受領した日から数える
訪問購入特商法58条の14八日法定の書面を受領した日から数える
連鎖販売取引特商法40条二十日法定の書面を受領した日(再販売する商品の最初の引渡しが後なら、その日)から数える
業務提供誘引販売取引特商法58条二十日法定の書面を受領した日から数える

期間は、契約した日ではなく、事業者が法律で定められた内容の書面を渡した日から数えます。そのため、書面を渡していなかったり、書面の記載が足りなかったりすると、期間が進まないと考えられています。また、事業者がクーリング・オフに関して事実と異なることを告げたり、威迫して困惑させたりして、利用者が期間内に行使できなかった場合は、改めてその旨を記載した書面を渡した日から八日(または二十日)を数える扱いになります。この点は、訪問販売の9条1項のかっこ書など、各条の本文に定められています。

効力の生じる時点は、「通知を発した時」です(訪問販売は9条2項、電話勧誘販売は24条2項、特定継続的役務提供は48条3項、訪問購入は58条の14第2項、連鎖販売は40条2項、業務提供誘引販売は58条2項)。つまり、利用者が書面または電磁的記録を出した日(発信の日)に効力が生じ、事業者に届いた日ではありません。この考え方を発信主義と呼びます。これに対して、民法の意思表示の効力は、原則として相手方に到達した時に生じます。クーリング・オフの規定に「到達した時に効力が生じる」と書くと、利用者に不利な特約として無効になります。

クーリング・オフが行われた場合の費用と清算も、法律が定めています。訪問販売の例では、事業者は、損害賠償や違約金の支払を請求できません(9条3項)。商品の引取りや返還の費用は事業者が負担します(同条4項)。すでに商品が使われたり、役務が提供されたりしていても、使用による利益や役務の対価などを請求できません(同条5項)。役務に関連して金銭を受け取っているなら、速やかに返還しなければなりません(同条6項)。これらに反する特約で利用者に不利なものは、無効です(同条8項)。電話勧誘販売の24条も、同様の構造です。

書き方の例(一般的な例) クーリング・オフに関する条項の書き方

通知の方法と効力

よくある書き方クーリング・オフは、当社所定の書式により、書面が当社に到達した場合に限り、受け付けます。
整えた書き方クーリング・オフは、書面または電磁的記録(電子メールなど)で行うことができ、通知を発した時に効力を生じます。

理由クーリング・オフの通知方法や効力発生時期を利用者に不利に限定する特約は無効(特商法9条2項・8項など)。

費用の請求

よくある書き方クーリング・オフの場合も、提供済みの役務の対価と事務手数料はお支払いいただきます。
整えた書き方クーリング・オフが行われた場合、損害賠償、違約金、提供済みの役務の対価の支払は請求せず、受領した金銭は速やかに返還します。

理由損害賠償や違約金の請求、役務の対価の請求はできない(特商法9条3項・5項・6項)。

適用の有無

よくある書き方当社のサービスは、クーリング・オフの対象外です。
整えた書き方取引の型を確かめたうえで、対象となる取引には、法律に沿ってクーリング・オフを案内する。通信販売には、クーリング・オフはない旨を記載する。

理由対象かどうかは取引の型で決まる。規約で対象外と宣言しても、法律上対象なら効力はない。

なお、クーリング・オフの条項を、規定づくりの全体の順序のどこに置くかを迷う場合は、第二段階(法定の出口を確かめる)と、第六段階(表示をそろえる)の両方に関わるものとして整理します。

通信販売の法定の返品:商品と特定権利だけが対象

通信販売とは、販売業者や役務提供事業者が、郵便その他の主務省令で定める方法(インターネットなど)で申込みを受けて行う商品や特定権利の販売、または役務の提供のうち、電話勧誘販売に当たらないものをいいます(特商法2条2項)。ネットショップが典型ですが、オンライン講座やオンラインのサービスの申込みも、通信販売に含まれます。

通信販売の法定の返品の仕組みは、特商法15条の3にあります。商品や特定権利の購入者は、その引渡しや移転を受けた日から起算して八日を経過するまでの間、申込みの撤回または契約の解除ができます(同条1項本文)。この点で、クーリング・オフと似て見えます。しかし、大きく三つの点で違います。

  1. 対象が商品と特定権利に限られる。条文は「商品又は特定権利」の売買契約について定めており、役務(サービス)の提供契約には及ばない。
  2. 広告に、返品の特約(例:返品はできない、返品できる期間や条件)を表示していれば、この返品は働かない(同条1項ただし書)。申込みがインターネットなどの電子消費者契約に当たる場合などは、広告に表示するだけでなく、主務省令で定める別の方法でも表示する必要がある。
  3. 返品に要する費用は、購入者が負担する(同条2項)。クーリング・オフでは事業者が負担するのと対照的である。

つまり、通信販売で「返品できません」と取り決めたいなら、広告と申込み画面に、その内容を見やすく表示しておく必要があります。表示がなければ、規約に書いてあっても、商品については引渡しから八日間、法定の返品が認められます。特商法11条5号は、広告に「申込みの撤回又は解除に関する事項」を表示するよう定め、同法施行規則24条3号は、この事項を顧客にとって見やすい箇所に明瞭に判読できるように表示するなど、容易に認識できるよう表示することを求めています。

役務についてはどうでしょうか。通信販売で申し込まれた役務には、特商法15条の3の返品は及びません。しかし、役務の提供契約も、通信販売の広告の表示事項(11条)と申込み画面の表示(12条の6)の対象になっています。さらに、12条の6の表示が不実であったり、表示がなかったりして誤認した場合には、申込みの意思表示を取り消すことができます(15条の4)。つまり、役務の通信販売では、返品の権利はなくても、解約・解除の条件を正確に表示していない場合には、取消しの問題が生じるのです。継続課金の表示は定期購入・自動更新の解約のページで、より詳しく扱います。

特定継続的役務提供の中途解約:八日を過ぎても解約できる出口

特定継続的役務提供とは、国民の日常生活に係る取引で、身体の美化や知識・技能の向上など、心身または身上に関する目的を実現させることをもって誘引が行われ、役務の性質上その目的が実現するかどうか確実でない役務を、政令で定める期間を超えて提供し、政令で定める金額を超える金銭を受け取る契約をいいます(特商法41条)。対象となる役務は、法律が個別に指定しており、エステティック、語学教室、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスなどが含まれます。指定の範囲、期間、金額の基準は政令で定められており、変更されることがあります。自社が対象に当たるかは、条文と政令の現在の内容で確認が必要です。

対象に当たる契約には、まず八日間のクーリング・オフがあります(48条)。それに加えて、八日が過ぎた後も、利用者は将来に向かって契約を解除できます(49条1項)。これが中途解約です。中途解約があった場合に事業者が請求できる金額には、法律の上限があります(同条2項)。

中途解約で請求できる金額の考え方(特商法49条2項)

  1. 役務の提供の開始前

    契約の締結・履行に通常要する費用

    契約の締結および履行のために通常要する費用の額として、政令で役務ごとに定める額を超える請求はできません。

  2. 役務の提供の開始後

    提供済みの対価+解約で通常生じる損害

    提供された役務の対価に相当する額に、解約によって通常生ずる損害の額として政令で役務ごとに定める額を加えた額が、請求できる上限です。

具体的な上限額は政令で役務ごとに定められています。数値はここでは扱いません。自社の役務が対象なら、政令の現在の定めを確認します。

これらの規定に反する特約で、利用者に不利なものは無効とされています(49条7項)。そのため、対象となる役務について、規約に「中途解約はできません」「中途解約の場合は残りの料金の全額をいただきます」と書くことは、法律の上限を超える限り、無効となります。この上限の考え方は、対象でない役務のキャンセル料を考えるときの参考にもなりますが、対象でない役務に49条2項が直接適用されるわけではありません。

取消し・無効・解除・約定の解約:取引の型を問わない出口

ここまでの三つは、取引の型で決まる出口でした。以下は、取引の型にかかわらず検討する出口です。

消費者契約法による取消しは、事業者が勧誘をするに際して、重要事項について事実と異なることを告げたり、不利益な事実を故意または重大な過失によって告げなかったりして、消費者が誤認したときや、退去しないなど一定の行為で消費者が困惑したときに、契約の申込みまたは承諾の意思表示を取り消せるものです(消費者契約法4条)。取消権は、追認できる時から一年間行わないときは時効によって消滅し、契約の締結から五年を経過したときも同様です(同法7条1項。一部の類型は期間が異なります)。契約の中身が勧誘の内容と食い違う場合、返金の求めは、この取消しの主張として出てくることがあります。

条項の無効(8条、8条の2、9条、10条)は、無効になりやすい条項の点検で扱います。

民法による解除は、契約の相手方が債務を履行しないときの出口です。相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは契約を解除できます。ただし、債務不履行がその契約や取引上の社会通念に照らして軽微なときは解除できません(民法541条)。債務の全部の履行が不能なときなどには、催告なしに直ちに解除できます(民法542条)。債務不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるときは、債権者は解除できません(民法543条)。解除をすると、各当事者は相手方を原状に復させる義務を負い、金銭を返すときは受領の時から利息を付さなければなりません(民法545条1項・2項)。解除は、相手方への意思表示でし、いったんした意思表示は撤回できません(民法540条)。

契約で定める解約は、契約書や規約に、解約や退会の事由、方法、効力の発生時点、清算を書いたものです。民法540条1項は、契約または法律の規定により当事者が解除権を有するときの解除の方法を定めており、契約で定めた解約権もこれに含まれます。ただし、契約で定めた解約の条項が、法定の出口を狭めたり、消費者に一方的に不利になったりしていれば、その部分は、特商法の特約の無効や、消費者契約法による無効の問題になります。

なお、分割払いやクレジットが入る取引には、別の出口が重なります。たとえば、個別信用購入あっせん(購入のたびにクレジット契約を結ぶ仕組み)に係る契約には、割賦販売法35条の3の10による申込みの撤回等の仕組みがあります。この整理は、分割払い・クレジットがからむ解約のページで扱います。

出口を比べる:起算点・効力・費用と、事業者間取引の適用除外

ここまでの内容を、比較の視点でまとめます。出口ごとに、いつから数えるか、いつ効力が生じるか、費用や清算をどう扱うかが違います。

出口ごとの起算点・効力・清算の比較

出口数え始め・期限効力が生じる時清算・費用の扱い
クーリング・オフ法定の書面を受領した日から八日または二十日通知を発した時(発信主義)損害賠償・違約金は請求不可。引取りの費用は事業者負担。受領した金銭は速やかに返還
通信販売の法定の返品商品の引渡しまたは特定権利の移転を受けた日から八日申込みの撤回等の意思表示によると考えられる(条文は発信の時とはしていない)返品の費用は購入者が負担。広告に特約を表示していれば適用されない
特定継続的役務提供の中途解約八日経過後はいつでも、将来に向かって解除の意思表示によると考えられる請求できる金額に法律の上限がある
消費者契約法の取消し追認できる時から一年(一部は三年)、締結から五年(一部は十年)取消しの意思表示取り消された契約は、さかのぼって効力を失うと考えられる
民法の解除債務不履行があったとき相手方への意思表示。撤回できない原状回復義務。金銭は受領時からの利息を付して返還
契約で定める解約契約の定めによる契約の定めによる(到達主義か発信主義かを決める)契約の定めによる。ただし消費者契約法で無効になる部分がある

表のうち、通信販売の法定の返品、特定継続的役務提供の中途解約、取消しの効力の発生時点は、条文に「発した時に効力を生ずる」という書き方がありません。そのため、「通知を発した時」とは断定せず、意思表示によると考えられる、と書いています。契約で定める解約の条項を作るときは、発信主義にするか到達主義にするかを、自分で決めて書きます。この点は、解約の受付と効力発生の決め方で詳しく扱います。

最後に、事業者間の取引での扱いです。消費者契約法の「消費者」は、個人のうち、事業として、または事業のために契約の当事者となる場合を除くものをいいます(同法2条1項)。したがって、個人事業主が事業のために契約する場合は、消費者契約法の対象外です。特商法でも、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売については、営業のために、または営業として締結する契約は適用から除かれています(26条1項1号)。特定継続的役務提供にも、同様の適用除外があります(50条1項1号)。ただし、営業のためか、個人の生活のためかの区別が、実際には曖昧なことがあります。個人事業主が、事業にも私生活にも使う目的で申し込む場合などです。この判定は消費者と事業者の判定のページで扱います。

確認の問いと理由出口を見分けるための問い

  1. その取引は、どこで、どのように申込みを受けていますか。

    店頭だけなら、通信販売にもクーリング・オフにも当たりません。訪問や電話での勧誘があれば、クーリング・オフの型に当たる可能性があります。インターネットで申し込まれるなら、通信販売です。

  2. 提供するものは、商品ですか、役務ですか、権利ですか。

    通信販売の法定の返品は、商品と特定権利が対象です。役務は対象外ですが、広告や申込み画面の表示の義務は及びます。

  3. 役務なら、継続して提供し、前払いで一定額を超える契約ですか。

    特定継続的役務提供の対象かどうかは、役務の種類、期間、金額が政令の基準に当たるかで決まります。当たれば、中途解約と上限額の規制が及びます。

  4. 広告や申込み画面に、返品や解除に関する事項を表示していますか。

    通信販売では、表示の有無で、法定の返品が働くかどうかが変わります。また、表示そのものが義務です。

  5. 申込む人は、個人ですか、事業者ですか。事業のために申し込むことがありますか。

    事業のための契約なら、特商法の通信販売などの規定と、消費者契約法の適用が外れます。申込みの入口で確認する方法を決めます。

答えが決まらない問いは、その取引の型が整理できていないことを示します。先に取引の流れを図にすると進めやすくなります。

起きがちなこと:出口の取り違えが招く争い

起きがちなこと

  • 通信販売の規約に「クーリング・オフを受け付けます」と書いてしまい、本来ない権利を、期間の定めもなく約束したと受け取られる。
  • クーリング・オフが働く取引なのに、規約に「提供開始後は一切返金しません」と書き、通知の方法も限定している。限定した部分は無効です。
  • 通信販売で、返品不可の特約を規約にしか書いていないため、商品の返品を断れない。
  • 役務の通信販売なのに、商品の返品の仕組み(15条の3)がそのまま使えると考え、返品条件を設計してしまう。
  • 特定継続的役務提供に当たる役務なのに、中途解約の上限を超える残額請求を規約に書いている。
  • 個人にも事業者にも同じ規約を使い、事業のための契約であることを確認する入口がない。
  • 分割払いが入るのに、クレジット会社側の出口を考えていない。

出口の見分けは、規定づくりの第二段階です。見分けた結果は、全体の設計の順序に戻って、約定の出口、金額、手続、表示を決める材料になります。

よくあるご質問

ネットショップで買った商品に、クーリング・オフはありますか。

ありません。クーリング・オフが定められているのは、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引、訪問購入の六つの型です。通信販売には、特商法15条の3による法定の返品の仕組みがあり、商品や特定権利は引渡しを受けた日から八日を経過するまで返品できます。ただし、広告に返品の特約を表示していれば、この仕組みは働きません。返品の費用は購入者の負担です。

オンライン講座のような役務にも、通信販売の返品の仕組みは使えますか。

特商法15条の3の返品は、商品と特定権利が対象で、役務の提供契約には及びません。ただし、役務の通信販売でも、広告に申込みの撤回または解除に関する事項を表示する義務(11条)や、申込み画面の表示と誤認させる表示の禁止(12条の6)があります。表示が不実だったり、表示がなかったりして誤認した場合には、申込みを取り消せる場合があります(15条の4)。

クーリング・オフの通知は、事業者に届いた日に効力が生じるのですか。

いいえ。訪問販売などのクーリング・オフは、書面または電磁的記録による通知を発した時に効力を生じます(訪問販売は特商法9条2項など)。発信主義と呼ばれます。通知の到達を要件にしたり、書式や送付先を限定したりする特約は、利用者に不利なものとして無効です。

エステや学習塾などの契約では、八日を過ぎたらもう解約できませんか。

できます。特定継続的役務提供に当たる契約には、八日間のクーリング・オフ(特商法48条)のほかに、八日を過ぎた後も将来に向かって契約を解除できる中途解約の定めがあります(同法49条1項)。この場合に事業者が請求できる金額には、同条2項により法律の上限があります。対象となる役務、期間、金額の基準は政令で定められているため、自社の役務が対象かを現在の内容で確認します。

お客様が個人事業主のときは、消費者契約法や特商法はどうなりますか。

事業として、または事業のために契約する個人は、消費者契約法の「消費者」に当たりません(同法2条)。特商法でも、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売は、営業のために、または営業として締結する契約には適用されません(26条1項1号)。ただし、事業のためか私生活のためかが曖昧な場合があります。申込みの時点で、どちらの目的かを確認する入口を設けておくと、判断しやすくなります。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、取引の内容や契約の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で参照できます。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 特定商取引法ガイド / 国民生活センター

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